1 太陽・月・星の創造

 神は仰せられた。「光る物が天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のためにあれ。また天の大空で光る物となり、地上を照らせ。」そのようになった。神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。また星を造られた。神はそれらを天の大空に置き、地上を照らさせ、また昼と夜とをつかさどり、光とやみとを区別するようにされた。神はそれを見て良しとされた。夕があり、朝があった。第四日。(創世記1章14~19節)

 

[Ⅰ]序論

creation_4day_1_1.jpg 創造第一日:地(エネルギー・元素)・空間・時間・光が創造された。地は物質の根源であり、空間は全てのものが存在するための容器のようなものである。光が創造されたので(B1-2「天と地を創られた」)、それ以後、地球の自転に伴って夕と朝が規則正しく巡ってきたのである。時間が創られ、光が創られた。

創造第二日:空と水が分離され、間に大気を創造された。後に植物が生存し、動物が生きるために最適な大気が創造された。

創造第三日:陸地と海が分離され、陸地には植物が創造された。植物は光合成によって動物にエネルギーと酸素を提供する。

 このように、いのちあるもの、特に人を地上に住まわせるための準備が着々と進められてきて、最終段階は第四日目の天体の創造である。

[Ⅱ]自然法則を定められた創造主

もしわたしが昼と夜とに契約を結ばず、天と地との諸法則をわたしが定めなかったのなら、(エレミヤ33:25)

(1)最初に創造主がおられた

 全てのものが存在するための自然法則を創造主が最初に定められなかったなら、宇宙も地球も地上の一切のもの、もちろん人も存在し得なかったのだと、主が明確に語っておられるのである。物理法則、物理化学法則、化学法則、生物学法則など自然界の全ての法則が、全知全能の創造主によって定められ、そのように宇宙世界の果てまで、また地上の小さな生物に至るまで、主が定められた法則に従って維持されるように、全てを主が護り、治めておられるのである。

 しかしながら、宇宙・地球・自然界そして私たちの身の回りに起こる諸現象を、罪人である私たちは逆さまの発想をして眺めていることが多い。創世記を神の御言葉と信じる信仰者でさえ、まず全ての自然法則が先に存在しており、その自然法則に従って主が創造されたという、逆さまの論理に引っ掛かってしまっていることがしばしばである。そして、改まって問いかけられると、「自然法則を定められたのは主である」と答える、あるいは思い出す。しかしながら、頭脳の中の回路はどうしてだが短絡していて、論理だった思考回路を辿らず、無意識下に全ての法則が先にあったという前提の元に思考が働いているので、ことある毎にこの逆さまの考えに立ってしまうので、どんどん歪んでいくのである。

(2) 自然法則: 復習

物理法則: 物質は支える力が働かないと、重力にしたがって落ちること、光は一定の速度で真空中を直進すること(地球の周辺では、という但し書きがどうやら必要なようであるが)、主が創造なさった92種の元素の原子核には、莫大なエネルギーが閉じ込められている、あるいは莫大なエネルギーによって一定の構造が保たれていること等々、すべての物質は数多くの物理法則の支配下に存在している。もちろん生物も人間も、この支配下にある。

化学法則: 化学的な結合はどのように支えられているか、反応はどのように起こるか、2つ以上の原子が結合・反応して新たな物質(分子)になる可能性があるかどうか。原子核に秘められているエネルギーとは別に、化学結合はそれぞれ特有のエネルギーを保持していることなど。

生物学法則: 生物については、第5日の創造を学ぶときに詳細に学ぶが、生物を構成している物質的側面は、天地万物を支配する物理法則、化学法則の支配を受けており、その法則の下に、生物としての独自な法則の下に存在している。「遺伝」という大原則に従って生物は存在し、増殖し続けるのである。

 主を信じる民は、何一つ偶然は無いことを知的には知っているが、感覚的には必ずしもそのようには捉えていないことが意外に多い。しかし、すべての自然界の法則は最初に主が定められ、維持し、そして見守っておられるのである。物理法則・化学法則そして天体の諸法則が正常に働いていることで、生命体の存続が可能になっていることを私たちは本当に理解しているだろうか?

[Ⅲ]いのちを創造するための最終的な準備 

creation_4day_1_2.jpg 完璧なものとして創造されるいのちを地上に置くための最後の準備段階において、主はこの宇宙空間を満たす天体の完成に取りかかられた。創造の第一日目から地上を照らしていた光と同じ方向から、新たに造られた太陽の光が射すようになり、太陽に面している方が昼、反対側が夜と区別され、昼と夜を区別する役割を太陽に与えられた。

 地球は創造された最初から自転を始めており、1回自転する時間を「1日」と設定されたこと、この「1日」は現代の1日という時間の単位と同じであることについては、創造第一日に学んだ通りである。人間は地上に住むように創造されるのであり、動物は地上に住むものと水に住むものとが創造されるが、いずれにしても地球に密着して生を営む生き物である。ちなみに空を飛ぶ鳥は、一見地球を離れて棲息すると錯覚しそうであるが、棲息の拠点は地球であり、地球を離れて生きているわけではない。 

あなたははるか以前に地の基を据えられました。天も、あなたの御手のわざです。(詩篇102:25 )

 天体を創造して、地上にいのちを置く準備を完了なさったのであるが、地球に生きるものが、天体とどのような関わりがあるのだろうか。確かに太陽の恩恵は今更考えるまでもなく、誰でも知っていることである。太陽や月、その他の惑星やそれらの数多くの衛星、そして無数の星はどのようなものであり、どのような役割を与えられて創造されたのであろうか? 少しだけ、学んでみることにする。

 

[Ⅳ]太陽・月・惑星・星

(1)太陽

creation_4day_1_3.jpg 太陽は地上に光を注ぎ、昼と夜を区別し、エネルギーを注ぎ、地上の一切のものが大きな恩恵に浴している被造物である。そのために、ややもすると人は太陽をエネルギーの源であると考え、そして拝む対象にしてきた。太陽崇拝は各国にある。日本人もまた、古くから太陽を崇めてきた。              

 日が昇ると一日が始まり、日が沈んで暗くなると一日が終わる。主が下さったそのようなリズムを刻んで人類の生活は営まれてきたのである。

主は太陽を与えて昼間の光とし(エレミヤ31:35)。

大きいほうの光る物には昼をつかさどらせられた(創1:16)。

 太陽は、銀河系(天の川銀河)の恒星の一つである。人類が住む地球を含む太陽系の物理的中心であり、太陽系の全質量の99.86%を占め、太陽系の全天体に重力の影響を与える。太陽の半径は約70万kmであり地球の半径1万2700kmの約110倍に相当し、質量は地球:約6×1024 kgの約33万倍にほぼ等しい約2×1030 kgである。平均密度は水の1.4倍であり、地球の密度は水の5.5倍なので、地球の約1/4の密度である。

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creation_4day_1_5.jpg 太陽と地球そして惑星の大きさの比較を図にする。太陽と比較すると、ガス惑星である木星、土星はそんなに小さくはないが、氷惑星である天王星と海王星はかなり小さい。そして地球は、この図では天王星のそばに矢印で示しているが、見えないほどの小さな点の大きさになる。

 地球から見ると太陽は真っ赤、あるいは橙色に見える。中心の温度、コロナの温度など、詳細な情報は専門的な話題として別に記すが、いずれにしても恐ろしい高温で燃えている力強いエネルギーの塊である。

特別な望遠鏡(Hinode-可視光磁場望遠鏡)で撮影すると、写真(下)のように太陽光線の繊維状の性質が明らかになった(2007年1月12日に撮影)

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creation_4day_1_8.jpg昼を治める太陽を造られた方に。その恵みはとこしえまで。(詩136:8 )

 主を知っている民は、太陽を眺めてそれをお造りになった主が今も恵み深く全地を治めておられることを主に感謝し、崇めたのである。太陽は宇宙から観察すると、赤くも橙色でもなく、写真のように実は白色に見える。

 

(2)月

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光る物が天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のためにあれ。小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。(創1:14~16)

主は季節のために月を造られました。太陽はその沈む所を知っています。あなたがやみを定められると、夜になります。夜には、あらゆる森の獣が動きます。(詩104:19, 20)

 太陽と地球と月とは、それぞれの質量、相互の距離など見事に企画されて、全てが完璧な状態で働くように配置された後、支障の無いようにその状態が維持されるよう制御されている。天体の運行を定めて、日、月、年を設定されたのは創造主である。地球が1回自転する時間を「1日」と設定され、月が地球の周りを公転する時間を「1月」、地球が太陽の周りを1回公転する時間を「1年」と定められた。このように定められた自然界の法則によって、日、月、季節の移り変わりを制御しておられるのは創造主なのである。

creation_4day_1_10.jpg よく知られているように、自転軸と公転軸には約23度のズレがあって地球は傾斜しており、この差によって春夏秋冬という四季を生じている。もし、この差がもっと大きければ、夏と冬の差がより大きくなっただろうし、差がなければ季節が無くなってしまう。気温が温かくなると芽が出たり花が咲いたり、また、日照時間が長くなると花が咲き、秋になると落葉樹は葉を落として、冬の到来の用意をするなど、様々な自然界の移り変わりに季節が重要な役割を果たす(「上の水」の項で説明したように、地球全体は上の水に包まれていたので、季節の実態は現在とは異なっていたと考えられる)。自然の大小様々な変化は全て、主が定められた通りに運行されているのである。夕焼け、朝焼け、風の向きなどで、雨嵐の予兆を悟るのは野生の動物だけではなく、人も又主が定められた自然の営みを悟ることが出来るのである (マタイ16:2,3;ルカ12:54,55)

 地球が極めて特殊な存在として創造されたのと同様に、その地球の衛星・月もまた、非常に特別な地球の唯一の衛星である。太陽系の他の惑星と比較するのは必ずしも適切ではない一面もあるかも知れないが、しかし、地球の月は他の惑星には例を見ない大きな衛星である。先のイラストで示したように、木星や土星は地球とは比較にならない大きな惑星であるが、これらの大きな惑星の衛星は、大きさとしては相対的には小さい。

 「太陽系の主な衛星と地球の大きさ比較」としての視点から示した次のイラストには、一番左に地球の衛星・月、続いて太陽に近い順に各惑星の衛星を示し、右下に地球を示している。非常に大きな木星の大きな衛星であるガニメデ カリストでも実際のサイズは月より少し大きい程度、イオは月と同じ位である。もう一つの大きな惑星である土星の衛星タイタンは、月より少し大きい程度である。惑星との相対的な大きさを考えるなら、木星や土星の衛星は月とは比較にならない小さい衛星である。

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 太陽、地球と衛星(月)間の相互の距離、位置、それぞれの大きさ、質量の比率などを、図と表にして示す。これらは相互に絶妙なバランスに創造されており、この比率が崩れると、海水の成分、海の動きが乱れ、地上の大気や温度が乱れ、地球は存続が困難になる。地上の植物は維持出来ず、したがって動物も生存することは不可能になる。

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creation_4day_1_13.jpg 人類は地球を離れて宇宙に飛び出し、支える物のない空間に美しい地球がポッカリと浮かんでいる姿を月から見て、聖書に書かれている通りであることを目で確認した。写真は月から見た地球の姿である。地球を眺めて主の偉大さを発見し称える者と、宇宙には神はいなかったとうそぶく悪者・愚か者がいる。

神は北を虚空に張り、地を何もない上に掛けられる (ヨブ記 26:7) 。

 

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 初めて宇宙に飛び立ったユーリィ・ガガーリンに関して、下のような冗談めいた逸話がある。

ロシア正教のモスクワ総主教の質問に「神の姿は見えなかった」とガガーリンが返事をし、総主教はそれを他の場所で言ってはならないと諫めた。その後、フルシチョフに「神の姿が見えた」と答え、「神の姿が見えたことは誰にも言わないように」とフルシチョフは言った。レーニン主義は宗教を否定している。

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(3)惑星

 目を高く上げて、だれがこれらを創造したかを見よ。この方は、その万象を数えて呼び出し、一つ一つ、その名をもって、呼ばれる。この方は精力に満ち、その力は強い。一つももれるものはない。(イザヤ40:26)

 太陽を中心として一定の軌道上を周回している惑星について、日本人は語呂合わせで歌のように唱えるので忘れない。太陽に近い惑星である水星から順に、「水金地火木土天海」・「すい・きん・ち・か・もく・ど・てん・かい」と歌う。

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 歴史的出来事の年代を覚えるために作られた文言は日本の知恵を窺わせる。一休みして、語呂合わせで覚えることが出来る歴史を見て、遊んでみよう。

ひろく(16)おさ(03)める江戸幕府(1603年江戸開幕):日本中の大名が陣取り合戦を繰り広げた戦国時代が徳川家康に平定され、征夷大将軍に任じられて幕府を開いた。余談ながら、征夷大将軍を任命するのは天皇であり、幕府を開く認可を与えたり取り消したりする権限を天皇が持っている。今でも、総理大臣を任命するのは天皇であるが、今は主権在民であるので天皇が権限を持っているわけではない。

()()()()江戸を東京と(1868年江戸幕府が崩壊し、明治政府が天皇親政体制を樹立・明治維新)。最後の将軍徳川慶喜が戦いに敗れ、天皇に対して「大政奉還」をしたのである。それから、第二次大戦が終わるまでは、日本では天皇が名目上の絶対権力者であり、「現人神」であったのである。

()()()()めんだ負け戦(1945年、日本はポツダム宣言を受諾して降伏)。第二次世界大戦の無条件降伏後、日本が辿った屈辱の日々、苦しみを日本の大切な歴史として覚え続けなければならない。6年後の1951年「サンフランシスコ講和条約」(翌年に発効)が締結されて、日本国は主権を回復した。

 日本の歴史の大きな節目の年代と出来事の要約に関して、語呂合わせで説明した。これは単なる語呂合わせではない、年代を覚えると同時に出来事を簡潔に説明している日本の深い知恵なのである。

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 惑星について学ぶ前に、長々と道草をした。道草ついでに、惑星に関しても少し道草をしてみよう。まだ人々の記憶に残っているだろうが、海王星の外の冥王星も2007年までは惑星の仲間だった。現在はいくつかの星と一緒に、準惑星ということになっている。

 地球の衛星である月と地球との重要な関わりは別の項に譲るが、地球に身近な天体、太陽の周囲を回る惑星について少し学んでおこう。

 地球と太陽、月の絶妙なバランスは、偶然出来たとは考えられない非常な緻密さを以て創造されたのであり、それに支えられて現在私たちが暮らす水の豊かな美しい地球が成り立ち、維持されているのである。月と地球の距離と大きさの絶妙なバランスによって、適度な潮の満ち引きが生じ、海洋の循環が行われるなど、生命を育むための地球環境が整えられているのである(CR誌37号参照)。

 あなたの指のわざである天を見、あなたが整えられた月や星を見ますのに、人とは、何者なのでしょう。あなたがこれを心に留められるとは。人の子とは、何者なのでしょう。あなたがこれを顧みられるとは。(詩 8:3, 4)

 地球が太陽から今より1%遠いだけで、地球は氷の星になっているだろうし、逆に今より5%太陽に近かったら灼熱の星になってしまうだろう。

 図に、太陽からの相対的な位置に惑星の大体の大きさとイラストを示す。地球に近い水星、金星及び火星は岩石惑星、大きな木星と土星はガス惑星、そして天王星と海王星は氷惑星である。また、それぞれの惑星の姿形と大きさ比較を示す。太陽に近く位置している岩石惑星は比較的小さく、その外側を周回しているガス惑星の木星と土星は非常に大きく、一番遠い氷惑星は中間の大きさである。

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昼は昼へ、話を伝え、夜は夜へ、知識を示す。(詩篇19:2)

夜を治める月と星を造られた方に。その恵みはとこしえまで。(詩篇136:9)

(4)地球に近い惑星:金星と火星 

creation_4day_1_18.jpg 金星は惑星の中で太陽に近い方から2番目の惑星で、地球に最も近い公転軌道を持つ惑星である。地球型惑星であり、太陽系惑星の中で、大きさと平均密度が最も地球に似た惑星であるため、「地球の姉妹惑星」と表現されることがある。      

 金星には大気が存在し、二酸化炭素が主成分、窒素を僅かに含み、もちろん動物が棲息する可能性はない。大気圧は非常に高く地表で約90気圧あり普通の生物は粉々になる気圧である(地球で水深900mに相当)。金星は地球より30%太陽に近く、さらに二酸化炭素の温室効果があるので、地表温度は平均464℃、上限 500℃に達する灼熱の惑星である。気圧、大気の成分、地表温度、いずれも動物はもとより植物も存在できる条件からは遙かに遠い。

 一方、地球のすぐ外側を周回する火星の大気は非常に希薄で、地表での大気圧は地球の平均値の約0.75%に過ぎず、生物を受け容れる事は出来ない気圧である。大気が希薄なために熱を保持する作用が弱く、平均気温は氷点下43℃で凍り付いている惑星である。大気の組成は二酸化炭素が95%、窒素が3%、アルゴンが1.6%で、他に酸素や水蒸気などの微量成分を含むが、もとより生物が生育する可能性はない。

 地球型惑星であり地球に直近の金星も火星も、生物が生きることが出来る環境とは全く無縁であることが明らかになった。しかし、人類は他の惑星に生命体の存在を求めて火星に水を求め、またカール・セーガンという科学者は太陽系外に飛んで行く探査機にメッセージを搭載して、地球外の知的生命体の存在を信じる儚い夢を描いていた。

 

[Ⅴ]結語

主は太陽を与えて昼間の光とし、月と星を定めて夜の光とし、海をかき立てて波を騒がせる方、その名は万軍の【主】。(エレミヤ書31章35節)