28.恐竜って何?~ 実在した動物なの? ~

恐竜って何? ~ 実在した動物なの?

 「さあ、河馬を見よ。これはあなたと並べてわたしが造ったもの、牛のように草を食らう。見よ。その力は腰にあり、その強さは腹の筋にある。尾は杉の木のように垂れ、ももの筋はからみ合っている。骨は青銅の管、肋骨は鉄の棒のようだ。」(ヨブ記40章15~18節)

 [Ⅰ]  恐竜って何?

(一)恐竜と呼ばれている動物たち

 恐竜と言ったときに人々が思い浮かべるのは、長い首をろくろ首のように高々と掲げ、太くて長いしっぽをだらりと地面に這わしている超巨大な竜脚類と、今ひとつは、血の滴っている獲物に食らいついている恐ろしいティラノサウルスである。こうして恐竜は「非常に大きく異様な姿形をしているある種の動物」として、おとぎ話に近い印象で捉えられている。そして、数多くの種類の動物を包含した漠然とした動物群全体が6500万年前に絶滅したという証拠のない先入観を人々に植え付け、進化論に利用されることになった。

 どのような動物が恐竜と呼ばれているのか、他の動物と同様に主に創造されたこと、ノアの箱船に入って洪水を生き延びたこと、紀元前六世紀頃までは人と一緒に生きていたこと、そして絶滅したらしいことについて現在判明していることを学びたいと思う。

 (二)恐竜の定義

① 爬虫類の一種、ワニなどと近縁と考えられている。

② 普通の爬虫類とは異なり、脚が体を下から支え、直立歩行する。

 図の左側のワニでは、脚が体の脇から突き出て、肘や膝の関節で折れ曲がっているので、腹を地面に付けて這いずることしか出来ない。一方、右側の恐竜は、脚が体の下に真っ直ぐ伸びて体を下から支え、脚を大きく踏み出して速く歩くことが出来る。
 恐竜の定義はこれだけで、それ以外の特徴はほとんど述べられていない。

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(三)草食恐竜

なぜ一括して「恐竜」と呼ばれるに至ったのかはともかくとして、様々に異なった動物がひとまとめにして恐竜と呼ばれている。これら様々な動物をいくつかに分けて見比べてみよう。

① 竜脚類・草食 

竜脚類は人気抜群の恐竜で、長い首、長い尾、体長20~30メートルの特別な美しい姿をしている。図の右側、首の下に描かれているのが人。長い尾と、特にこの長い首を持った動物が、どのように全身に血液が無事に送られ、呼吸出来て生きることが出来たのか、生物学者にとっては大きな謎である。このイラストに描かれているよりは、首も尾もさらに地面すれすれに引きずって生きていたのだろうと想像される。よく描かれているように鎌首を高々と持ち上げた姿はSFとしては面白く美しいかも知れないが、生物学的には考えられない姿である。

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② 鳥脚類・イグアノドン・草食 

1820年、最初に発見された恐竜化石である。推定される成獣のサイズは様々であり、体長十メートルの大きい化石も発見されている。前肢が短いので、立った姿勢の復元想像図が描かれていることもある。

③ プシッタコサウルス・草食

体長1~2メートルの小型で二足歩行。こんなに小さい草食動物に「恐ろしい竜」という名前は似つかわしくないが、さらに小さい動物も恐竜の仲間として分類されている。

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④ パキケファロサウルス・堅頭竜類・草食 

体長は6~8メートルで、非常に硬い頭蓋が特徴で(石頭恐竜)、復元図を見ると、頭に毛が生えていない禿頭だったようである。エリシャが禿頭を子どもたちにからかわれて怒った(第二列王記2:23)ことにちなんで、筆者は「エリシャ恐竜」とあだ名をつけた。

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⑤ 剣竜・ステゴサウルス・草食 

体長9メートル、体高4メートル。前の図に示したように、背中に数多くの「剣」を背負っている感じである。

⑥ 曲竜(鎧竜)・草食

全身が装甲に覆われ、捕食者から身を守るために役に立ったと考えられている。復元想像図および左上部の化石の写真のように堅いハンマーの武器が尻尾に付いていて、いざという時には、このハンマーで身を守ったのかも知れない。

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⑦ 角竜・トリケラトプス・草食         

フリルが付いた大きな頭に角を持っている。硬い骨で身を覆われている草食恐竜は、人間流に解釈すると、例えば、今も生息している亀のように身を守るための鎧甲を身にまとって造られたと考えられる。一方、竜脚類は長い首や、長い尻尾を戦うための武器にするには様々な難点があり、キリンが長く強靱な首や脚を武器にして戦ったようなわけにはいかないと想像されるが、図体の大きさ自体がかけがえのない重要な武器であったことだろう。

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⑧ カモノハシ竜・草食 

このグループの中で、非常に人気が高く有名なのは「マイアサウラ(良いお母さんトカゲ)」と名付けられた大きな恐竜で、成獣は体長8~9メートル、体重は数トンに達したと考えられる。名前の由来は、卵が並べて置かれている巣の化石が発見されて、子育てを本格的に行っていた可能性が示唆されたためである。卵化石、巣化石は次号で取り上げる。

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 (四)肉食恐竜

⑨ 獣脚類・肉食 

代表はなじみ深いティラノサウルスで体長10メートルに達し、「恐ろしい竜」の名に恥じない動物として復元想像図が描かれている。竜脚類とは異なった不思議を秘めているのは、大きな図体に申し訳程度にチョコっと付いている短く小さい前肢である。肉食獣なので、一体どのようにして狩りをしていたのであろうかと不思議がられている。

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⑩ スピノサウルス・肉食 

ティラノサウルスより体長はやや大きく、尻尾が長く背中に帆を背負っているという特徴がある。

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⑪ コエロフィシス・肉食

小型肉食恐竜で、大きさを視覚的に捉えるために同じ縮尺で、一つのイラストにまとめた。10メートル以上のスピノサウルスから見れば、これら小型恐竜はキリギリスのような小さな存在であったことが分かる。これら小型恐竜の姿が分かるように大きさを揃えて一枚の図に示した。

⑫ コンプソグナトゥス・肉食

⑬ 羽毛恐竜・ミクロラプトル・肉食

前肢にも後肢にも発達した飛行用の羽毛があり、イラストに示したように飛行できた可能性が高いと考えられている。

(五)様々な恐竜まとめ

① 姿や形は実にばらばらで多様性に富んでおり、特徴を表してまとめた図からも、ひとまとめに出来ない動物群であることは一目瞭然である。
② 最初の定義に当てはまるいくつかの恐竜の相対的な大きさを図に表した。これらは姿形のみならず、大きさも実に様々で、30メートルに及ぶ竜脚類から、1メートル前後の、この図では点にしか表せないほど小さい恐竜もいる。右側の隅に小さく描かれているのが人である。
③ 植物食が大半であるが、肉食恐竜も五%位いたようである。
以前に説明したバラミン(生めよ、増えよと主が定められた動物の種類)としては、恐竜は約50種類のバラミンの集団であると考えられている。

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 [Ⅱ]  恐竜が実在した証拠

(一)恐竜が創造された日

海の巨獣・・第五日
それで神は、海の巨獣と、種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。(創1:21)

陸の恐竜・・第六日
「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、その種類にしたがって野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。するとそのようになった。(創1:24)

 (二)聖書の記録

① ヨブ記(紀元前六百年以後)

河馬・・40:15-20、レビヤタン・・41:1,2
当時、恐竜という言葉が英語(dinosaur)にも、日本語にもなかった。しかし、尻尾がチョロっと短く、脚も太いだけの河馬は、ここに描写されている動物(behemoth)とは別の動物である。ここに描写されている動物の姿は、竜脚類そのものである。

② 詩篇(紀元前一千年以後)74:14 および104:26  レビヤタン

あなたは、レビヤタンの頭を打ち砕き、荒野の民のえじきとされました。

③ エレミヤ書 (紀元前五~六百年) 50:34  竜または龍

竜のように私をのみこみ、私のおいしい物で腹を満たし、私を洗い流した。

④ イザヤ書 (紀元前700年頃) 27:1  レビヤタン

その日、【主】は、鋭い大きな強い剣で、逃げ惑う蛇レビヤタン、曲がりくねる蛇レビヤタンを罰し、海にいる竜を殺される

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 (三)聖書以外の記録

聖書以外にも恐竜に関して記述してある書物があり、また洞窟内に壁画が残されている。

 [Ⅲ]  結語・・実在していた恐竜

聖書の記録から、紀元前五~六世紀に生きていたことは明白である。すなわち、キリストが降誕される少なくとも数百年前まで恐竜は人々の眼にとまるところに生きていたのである。