アダムからアブラハムまで-概観

[Ⅰ]序論 

わたしが地の基を定めたとき、あなたはどこにいたのか。あなたに悟ることができるなら、告げてみよ。(ヨブ記38章4節)

宇宙や地球の年齢、そして人類の年齢は、人類にとって重要で大きな課題であるが、宇宙や人類の始まりの時を、人は誰も見ていなかったので私たちの「被造物の科学、被造物の学問」では答えは得られない。そして、解らないからこそ「何百万年の人類の歴史」の亡霊に取り憑かれているのである。

ところが、創造主が人類に記録として与えられた聖書は、宇宙史、地球史、人類史の重要な出来事をつぶさに語っているのである。

 知識もなく言い分を述べて、摂理を暗くするこの者はだれか。

 (ヨブ記38章2節)

まず、人類の歴史の大きな流れを、聖書から学びたいと思う。

[Ⅱ]地球の年齢・すなわち人類の年齢:聖書から算出した答え

アダムは創造の六日目に創造された。
アダムが創造される5日前から地球の歴史は始まった。
アダムからアブラハムまで、約二千年
アブラハムからキリストまで、約二千年
キリストから現在まで、約二千年  (現在キリスト歴(西暦)2013年)
したがって、地球の年齢、すなわち人類の年齢は、約六千年である。

 ちなみに、西暦の数え方は、紀元前をBCと書き、紀元後をADと書くのは周知の事実であるが、このBC,ADの意味を知らない日本人は意外に多い。
 BCとは、Before Christの略であり、キリストの降誕以前という意味である。また、
 ADとは、ラテン語Anno Dominiの略であり、キリストが降誕された年の翌年を紀元元年とした、「キリスト紀元」「キリスト歴」「主の年」という意味である。今日本では、西暦という言い方をしている。
 
参考までに:「科学的推測」 
 科学者の推測している進化論に基づく地球、宇宙の年齢を参考までに記す。後の項に詳細に説明する。
宇宙の年齢は、ビッグバン説によると、127 ~ 150億年と推測されている。
地球の年齢は、約 50億年
数多くの自然現象は、いかに長期間を考えたくても、地球の年齢の限界を示している。
例:大気中のヘリウム、地中のヘリウム量、炭素14の蓄積、海中のナトリウム量、地磁気の減衰率等々、科学の進歩と共に、地球の年齢は若くなってきている。

[Ⅲ]アダムからノアまで

1.人類の始祖アダムの一生(創世記1章26~31節; 2章, 3章, 5章1~5節)
アダムは創造の6日目に創造主の御姿を映されて、大人の男として創造された。そして、アダムのあばら骨から妻としてエバが創られた。完璧な人としていのちを頂いたはずのアダムとエバであったが、創造主に反逆して宇宙・地球・動物・そして人が呪われ、死が訪れた。

神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

(創世記1章27節)

アダムは愛する妻エバとの間にンとアベルという二人の息子を得たが、カインはアベルを殺し、そして主によって追放された。カインの子孫の歴史も聖書に記されており、カインーエノクーイラデーメフヤエル-メトシャエルーレメクーヤバル、ユバル、トバル・カインまで書かれているが(創世記4章17~22節)、キリストに至る歴史の表舞台からは姿を消している。カイン及びその子孫については、別の主題の項で記載する。                     

上記の「Anno Domini、AD, キリスト紀元・西暦」と同様に、アダムが創造された年を起点として「アダム歴」として年号を記すことにする。
アダムが130年生きたとき、すなわちアダム歴130年に後継者となる息子セツが与えられた。アダムはその後800年生きたので、合計930年生きて、アダム歴930年に死んだ。エバは何年生きたか不明である(創世記5章3~5節)

2.二代目セツから六代目エレデ誕生までの約460年(創世記5章6~20節)
二代目セツは、アダム歴235年、105歳の時に後継者エノシュを与えられ、合計912年生きて、アダム歴1042年に死んだ。
三代目エノシュは、アダム歴325年、90歳の時に後継者ケナンを与えられ、905年生きて、アダム歴1140年に死んだ。
四代目ケナンは、アダム歴395年、70歳の時に後継者マハラルエルを与えられ、910年生きて、アダム歴1235年に死んだ。
五代目マハラルエルは、アダム歴460年、65歳の時に後継者エレデを与えられ、895年生きて、アダム歴1290年に死んだ。
 六代目エレデは、アダム歴622年、162歳の時に後継者エノクを与えられ、962年生きて、アダム歴1422年に死んだ。


3.死ななかった人(創世記5章21~24節)
 七代目、神の人エノクは、アダム歴687年、65歳の時に後継者メトシェラを与えられた。このエノクはノアの曾祖父であり、神と共に人生を歩んだ信仰の人で、死ななかった人である。
365年生きた後、アダム歴987年に、神が取られたので、いなくなったと書かれている。
新約聖書にも、エノクは預言者であったこと、信仰の人であったことが書かれている。

アダムから七代目のエノクも、彼らについて預言してこう言っています。「見よ。主は千万の聖徒を引き連れて来られる。すべての者にさばきを行い、不敬虔な者たちの、神を恐れずに犯した行為のいっさいと、また神を恐れない罪人どもが主に言い逆らった無礼のいっさいとについて、彼らを罪に定めるためである。」(ユダの手紙1章14~15節)

「信仰によってエノクは死を見ることのないように移されました。神に移されて、見えなくなりました。移される前に、彼は神に喜ばれていることが、あかしされていました。(ヘブル人への手紙11章5節)

4.ノアの洪水に関わった人(創世記5章25節~6章7節)
八代目、ノアの祖父メトシェラは、アダム歴874年、187歳の時に後継者レメクを与えられた。ノアと共に洪水預言を受けて、共に信仰に立って箱船を建造したと考えられる。息子レメク、孫ノアを信仰の人として育て、969年の長寿を祝福された後、アダム歴1656年、洪水の来た年、洪水を体験する前に死んだ。

九代目、ノアの父レメクは、アダム歴1056年、182歳の時に後継者ノアを与えられた。世界が荒れすさんでいたので、この子が慰めを与えてくれるだろうと願って、「ノア」と名付けた。洪水預言や箱船建造に当たって、その父や息子と共に関わったと考えても良いだろう。レメクはこの時代としてはかなりの短命で777年生きて、その父に先立つこと5年、アダム歴1651年に死んだ。
創造後の図を見れば解るように、レメクはアダム歴874年に生まれ、アダムはアダム歴930年に死んでいるので、アダムが死んだときレメクは56歳である。すでに地上には人が満ちあふれるほど大勢いただろうから、二人が会っていたはずだと考えなくてもいいが、アダムは全ての人類の始祖であり、家長である。その後継者のレメクがアダムに会っていたと無理なく考えられるのではないかと思う。

5.ノアの洪水(創世記6章9節~9章29節)
十代目ノアは、アダム歴1056年に生まれており、アダムが創造されてから約1千年後、アダムが死んでから、すでに126年経ってからである。また神と共に歩いたエノクも987年にすでにいなくなっていた。したがって、ノアは直接アダムにも、エノクにも会ってはいないが、信仰深い祖父メトシェラや父レメクから、始祖アダムのことやエノクのことを聞いていただろうと思うと、楽しくなる。そのような教育を受けたからこそ、ノアが信仰の人として成長したのだろう。

しかし、ノアは、【主】の心にかなっていた。(創世記6章8節)

信仰によって、ノアは、まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき、恐れかしこんで、その家族の救いのために箱舟を造り、その箱舟によって、世の罪を定め、信仰による義を相続する者となりました。(ヘブル人への手紙 11章7節)

ノアは主が命じられた通りに箱船を建造し、箱船に動物たちを収容し、家族共々箱船の中で平和に洪水を乗り越えた。

また、昔の世界を赦さず、義を宣べ伝えたノアたち八人の者を保護し、不敬虔な世界に洪水を起こされました。

(ペテロの手紙第二 2章5節)

【主】はノアに仰せられた。「あなたとあなたの全家族とは、箱舟に入りなさい。あなたがこの時代にあって、わたしの前に正しいのを、わたしが見たからである。(創世記7章1節)            

そこで、ノアは、息子たちや彼の妻や、息子たちの妻といっしょに外に出た。すべての獣、すべてのはうもの、すべての鳥、すべて地の上を動くものは、おのおのその種類にしたがって、箱舟から出て来た。(創世記8章18~19節)

 ノアは洪水を共に体験した息子セムを後継者として残し、洪水後350年生きて950年の長寿を全うして、アダム歴2006年に死んだ。

[Ⅳ]洪水後の世界:セムからアブラハムまで

6.洪水後、寿命が短くなった(創世記11章10~1:17)
十一代目セムは、ノアと共に箱船を建造し、洪水を乗り越えた、ノアの息子である。洪水2年後アダム歴1659年、100歳の時に後継者アルパクシャデを生んだ。洪水後500年生き、約600年生きて、アダム歴2158年に死んだ。
十二代目アルパクシャデは、洪水2年後、1658~9年に生まれ、35歳で後継者シェラフを生み、その後403年生き、アダム歴2096年、438歳で死んだ。
十三代目シェラフは、アダム歴1693年に生まれ、30歳で後継者エベルを生み、2126年、433歳で死んだ。
十四代目エベルは、アダム歴1723年に生まれ、34歳で後継者ペレグを生み、2187年、464歳で死んだ。

7.バベルの塔に対する裁き(創世記11章1~ 9節, 18~25節)
十五代目ペレグは、アダム歴1757年に生まれ、30歳で後継者レウを生んだ。ペレグの時代に、ハムの子孫クシュの子ニムロデが権力者となり、バベルの塔を築いたので主の裁きが下った。ペレグは1996年、239歳で死んだ。
主に反逆した民は、主の支配から徹頭徹尾逃れようとして「天に届く」塔を建てようとした。主は人々の言葉を乱して、互いに意思の疎通が出来ないようにして、全地に人々を散らしてしまわれた。

そのうちに彼らは言うようになった。「さあ、われわれは町を建て、頂が天に届く塔を建て、名をあげよう。われわれが全地に散らされるといけないから。」(創世記11章4節)
【主】は仰せになった。「彼らがみな、一つの民、一つのことばで、このようなことをし始めたのなら、今や彼らがしようと思うことで、とどめられることはない。さあ、降りて行って、そこでの彼らのことばを混乱させ、彼らが互いにことばが通じないようにしよう。」(創世記11章6~ 7節)            

十六代目レウは、1787年に生まれ、32歳で後継者セルグを生み、アダム歴2026年、239歳で死んだ。
十七代目セルグは、1819年に生まれ、30歳で後継者ナホルを生み、アダム歴2049年、230歳で死んだ。
十八代目ナホルは、1849年に生まれ、29歳で後継者テラを生み、アダム歴1997年、148歳で死んだ。

8.カルデヤ人のウルからハランまで(創世記11章26~ 32節)
十九代目テラは、アブラムの父であり、アダム歴1878年に生まれた。70歳で後継者アブラム(後のアブラハム)を生んだ。
テラは息子アブラム、アブラムの妻サライと孫のロトを伴い、カナンの地に行くために、カルデヤ人のウルから一緒に出かけた。しかし、ハランまで来て、そこに住みついた。
テラはアダム歴2083年にハランで、205歳で死んだ。

9.二十代目 アブラハム (創世記12章1節~25章8節)
父テラの死後、アブラムは主の命令に従って生まれ故郷を出て、行き先を知らないまま旅に出た。

信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召しを受けたとき、これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました。(ヘブル人への手紙11章8節)

アブラムの信仰を義と認められた主は(創世記15章5~6節)、アブラムと契約を立てて国民の父(アブラハム)とし、「あなたの子孫をおびただしくふやす」と約束された。

そして、彼を外に連れ出して仰せられた。「さあ、天を見上げなさい。星を数えることができるなら、それを数えなさい。」さらに仰せられた。「あなたの子孫はこのようになる。」彼は【主】を信じた。主はそれを彼の義と認められた。

(創世記15章5~6節)

そして、妻サライもその信仰の故に主の祝福を受けて国々の母(サラ)となった(創世記17章15~21節)

信仰によって、サラも、すでにその年を過ぎた身であるのに、子を宿す力を与えられました。彼女は約束してくださった方を真実な方と考えたからです。(ヘブル人への手紙11章11節)

契約の民となったアブラハムは100歳の時に契約の子、イサクを与えられた。アブラハムはアダム歴2183年に175歳で死んで、葬られた。


[Ⅴ]結語 

  アダムからアブラハムまでの年数を聖書から算出すると、約二千年である。